すし技術の祭典 全国すし技術披露会

会場:東京新宿 京王プラザホテル

会場:東京新宿 京王プラザホテル

開会式

開会式

「ただ今より、全国すし技術披露会の開会を宣言いたします。」

小形 昭彦 全国すし連副会長(東京都/吾妻寿司) 小形 昭彦 全国すし連副会長(東京都/吾妻寿司

全国すし技術披露会 副実行委員長の小形 昭彦 全国すし連副会長(東京都/吾妻寿司)による開会宣言により、令和4年10月18日(火)、 東京都新宿区 京王プラザホテルにおいて、各県のすし組合役員や一般の観覧者が多数見守る中、全国の寿司店から選抜された70名の寿司職人選手が集結し、 全国すし商生活衛生同業組合連合会による「全国すし技術披露会」が開催されました。

まず、実行委員長の井上 正典 全国すし連 副会長(大阪府/大喜)からの挨拶が行われました。

井上 正典 全国すし連 副会長(大阪府/大喜) 井上 正典 全国すし連 副会長(大阪府/大喜

井上「今や、寿司というのは日本だけで無く、ヨーロッパ、アメリカまで浸透してきています。 そんな中で、我々、日本のすし業界の人間としては、世界に対しお手本となるよう、 日頃の大変な勉強と鍛錬を十二分に発揮していただければと思います。」

続いて、大会会長・実行委員である浅野 哲哉 全国すし連 会長が選手に挨拶を行いました。

浅野 哲哉 全国すし連 会長 浅野 哲哉 全国すし連 会長

浅野「新型コロナウイルスによる影響で、お客様は長時間の飲食を避ける傾向になりました。 特に、平日の夜の時間帯にお客様が戻らない状況が多くの寿司店で続いております。 今回、すし技術披露会の開催にあたり、皆様には寿司職人の日々の鍛錬を知っていただき、 寿司店を応援していただければ幸いです。選手の皆様、本日は素晴らしい技術を披露してください。」

中田 秀人 東京都すし組合 常務理事(東京都 国分寺市/能登寿司)の司会の元、 11名の審査委員が紹介され、審査委員長の大山 康正 全国すし連 技術委員長(神奈川県/は満寿司)の挨拶にて開会式が終了しました。

大山 康正 全国すし連 技術委員長(神奈川県/は満寿司) 大山 康正 全国すし連 技術委員長(神奈川県/は満寿司)

大山「選手の皆さんは、今日のために大変な努力をされてきたことと思います。今日は、実力を遺憾なく発揮し、 良い作品を作っていただくよう心からお願いいたします。11名の審査委員と共に審査させていただきます。

普段お店でお客様に美味しい寿司をお出しすることと同じように、この披露会においても時間内に作品が仕上がるように。

仕上がらないと減点、片付けもできないという減点が加わり、大きな減点となります。 時間内で良い作品が仕上がるよう、頑張ってください。」

披露内容

披露内容

全ての披露で、食材、器の持ち込みを禁止し、選手全員が同じ食材と器で課題となる作品を作り、日頃錬磨した本格的なすしの技術を披露します。

披露内容 選手
巻きずし披露 20名
握りずし披露 34名
関西江戸盛披露 16名
審査基準
仕事ぶり 25点
作品の仕上がりの状態 70点
終了時の片付け 5点
合計 100点

巻きずし披露

巻きずし披露

制限時間 20分
課題 鉄火巻、かんぴょう巻、かっぱ巻の他に2種類(自由)の計5本に笹切り(自由作品)を2枚以上入れ、巻きもの用まな板に盛る。

巻きずし披露は、20名の選手で披露されました。

まず、笹切りを行います。笹や、葉ランは、元々殺菌効果があり、寿司を保存するために用いられましたが、 寿司職人の包丁技術が加わって、笹きり、葉ラン切りとして、寿司の仕切りや飾りに使われるようになりました。

近年、寿司職人の工夫によって、想像力を発揮した作品が数多く生まれ、寿司を彩る名脇役として役割を果たすようになりました。 笹切り、葉ランきりは、寿司職人の腕の見せ所とも言えます。

巻きずしは、巻き芯が中心にバランス良く収まり、切り口が揃っていて、長さも均等であり、海苔が破れたり、 表にシャリが付かないように手早くシャリを広げて巻き込みます。 巻きすの絞め加減や、姿、美味しさに影響する技術の深い仕事です。

細工は、左右のバランスと色合いで、寿司職人のセンスの良さを十分に表現できるものです。 限られた時間内に、繊細で丁寧な仕事をするのが大切です。

  • 巻きずし披露
  • 巻きずし披露
  • 巻きずし披露

握りずし披露

握りずし披露

制限時間 35分
課題 5人前飯台 に盛り込み、握り個数自由、巻きもの個数自由、笹切り、細工ずし自由。盛り付け、後片付けまで。

握りずし披露は、2回に分けて、総勢34名の選手が行いました。

笹は、6月になると新笹が出回り、鮮やかな緑色と、柔らかく切りやすいのが特徴です。 ですから、8枚や10枚も重ね切りができます。秋から冬にかけては、葉が固くなり切りにくくなります。 その場合は、さっと湯通しすると、切りやすくなります。

笹きりは、スピーディで、見栄えの良い作品が求められます。使われる笹は、一般的に、クマザサと呼ばれているものです。 剣笹、関所 は何枚か重ね切りができますが、化粧切りは、一枚を丁寧に切っていきます。

笹切りで、二つ折りして切るときは、利き手の反対の指で笹をしっかり押さえて固定することが大切です。

押さえている小指、薬指、中指、人差し指で長さを計りながら切ると、大きな笹でも同じ長さと幅で切ることができます。

笹きり、葉ラン切りは、寿司職人にとって包丁を使いこなすための基本中の基本です。

また、枯れやすい笹は、寿司の鮮度を知る役割でもあり、笹が枯れる前に、萎れる前に寿司を食べてしまうことが、美味しい寿司を食べる目安となります。

寿司の見た目も美しいのがプロの寿司職人です。

このような場で技術を披露することはかなり難易度が高いことです。 普段使い慣れたお店のまな板などと違い高さも切り付けで、ネタのすべり具合も違いますので、慎重に作業しなくてはなりません。

寿司を握るときは、姿勢良く手早くテンポよくすることが大切です。盛り込みは、寿司を並べる角度や色合い、笹の配置も重要です。 器のまわりに寿司が付かずに 指一本分は空けてセンス良く盛り付けることも大切です。

  • 握りずし披露
  • 握りずし披露
  • 握りずし披露

関西江戸盛披露

関西江戸盛披露

制限時間 40分
課題 葉ランきり、海老型、松型、関所そのた自由。中巻、胡瓜巻、鉄火巻、ケラ箱それぞれ1本。 焼あなご1枚、握り22貫(いか3、マグロ3、鯛3、海老3、たまご2、いくら2、とり貝2、サーモン2、アナゴ3)。 以上の作品をすし桶に盛り付ける。

関西江戸盛披露は、総勢16名の選手が行いました。

近畿ブロックと言われる地域での、大阪、京都、滋賀、兵庫では、関西江戸盛披露が行われております。今回初めて、全国で披露されることになりました。

お寿司の内容ですが、握り、太巻き、細巻き、箱ずし、細工ずしの組み合わせで構成されています。 箱ずしは、近畿以外の方は馴染みがないと思いますが、関西の寿司職人は、握り、巻、箱ずしが押せるようになって、初めて一人前とされます。

選手達が作成しているお寿司は、あくまでも最後の仕上げ段階に過ぎません。 握るのも、巻くのも、押すのも一瞬ですが、それまでの仕込みの段階で、非常に手間暇がかかります。 箱ずしはその最たるもので、非常に手間暇かかる代表のお寿司です。

今回の、関西江戸盛の箱ずしは、アナゴ押しとケラ箱と呼ばれる厚焼き、海老、白身を合わせた押し寿司です。 また、アナゴ押し、ケラ箱ともに、中央に中具と呼ばれる干し椎茸を甘辛く煮上げてミンチにしたものが挟んであります。

握り披露と異なる点では、箱ずしの作成の他に、握り披露では笹に対し、葉ラン、アナゴの背開きに対し、腹開きなどと違う点が上げられます。

残念ながら、関西でも箱ずしを作れる寿司職人が減少しています。 披露会に出場している選手は、箱ずしが作成できる数少ない寿司職人であります。

  • 関西江戸盛披露
  • 関西江戸盛披露
  • 関西江戸盛披露

表彰式

表彰式

技術披露を終えた70名の選手が入場。大山康正 審査委員長が審査結果を発表し、各賞を授与され、総評を大山康正 審査委員長、 並びに青山修治審査員長が行い、青山修治 審査員長の閉会の辞により、全国すし技術披露会は終了しました。

  • 表彰式
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  • 表彰式
  • 表彰式
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巻きずし披露
最優秀賞 1名
鈴木 勝彦 東京都/金太楼鮨
巻きずし披露 最優秀賞
金賞 4名
井上 昌人 東京都/金太楼鮨
中崎 翔太 静岡県/寿司職人びる川
杉本 涼 長崎県/握りのはやし
石破 祐太 東京都/金太楼鮨
他、銀賞 5名、敢闘賞 10名
握りずし披露
最優秀賞 1名
増井 嘉人 東京都/金太楼鮨
握りずし披露 最優秀賞
金賞 8名
千葉 勇 東京都/金太楼鮨
新里 典広 東京都/金太楼鮨
下屋敷 明美 岩手県/すし心名
岩村 祐二 東京都/金太楼鮨
佐藤 伸也 熊本県/水前寺 時雨
似内 研二 東京都/金太楼鮨
増渕 真 栃木県/奴寿司
尾崎 正明 東京都/金太楼鮨
他、銀賞 8名、敢闘賞 10名
関西江戸盛披露
最優秀賞 1名
中川 淳 滋賀県/京極寿司
関西江戸盛披露 最優秀賞
金賞 3名
山崎 剣司 滋賀県/京極寿司
栗飯原 昌弘 大阪府/粟寿司
岩本 雅 大阪府/割烹 司
他、銀賞 4名。敢闘賞 8名

お客様に美味しいお寿司を

お客様に美味しいお寿司を。

寿司職人たちは、日頃から技術の鍛錬と美味しいお寿司をお客様に提供するための研究をしています。

技術披露会に参加された選手の皆さんはとても幸運です。日常では経験できない貴重な1日です。 今までの技術鍛錬を多勢の見学の方々の前で披露できることは、将来のお仕事のお役に立つことでしょう。

プロの仕事とは、手早く簡単にこなすことです。一般の方が「自分でもできそう」とやってみると出来ないのがプロの仕事。 限られた時間内に、繊細で丁寧な仕事をするのがプロの仕事です。

シャリ炊き3年、合わせ5年、握り一生。3年かけだし、7年片腕、10年旅立ちと、すし職人は約10年ほどの修行期間が必要です。

寿司は日本の伝統食ですが、寿司職人という特別な資格や免許があるわけではありません。 独り立ちという意味では完全に個人の自由であり、開店資金など用意できれば誰でも寿司店を開くことができます。 開店はたやすいですが、難しいことは継続することです。どんな商売でも一緒です。

「継続は力なり」

技術披露会に参加された寿司職人の皆さんは、自分史上最高に近い寿司技術を披露したことと思います。 明日からまた新たなスタートだと思い、より上を目指し、自分を磨く努力をしてくださることを望みます。

一生勉強です。

司会 中田 秀人 東京都すし組合 常務理事(東京都/能登寿司)

中田 秀人 東京都すし組合 常務理事(東京都/能登寿司) 中田 秀人 東京都すし組合 常務理事(東京都/能登寿司)

技術披露会に選抜された寿司職人はもちろん、全国にある皆さんのお近くにある寿司店の多くが皆さんに美味しいお寿司を食べていただくために日々鍛錬しています。

お気軽にお近くの寿司店にご来店いただき、寿司職人が握る美味しいお寿司をお召し上がりください。

審査委員

審査委員

審査委員長
大山 康正 全国すし連 技術委員長
(神奈川県/は満寿司)
審査委員
斎藤 明 北海道ブロック
(北海道/すし屋のさい藤)
佐藤 英俊 東北ブロック
(山形県/寿司・割烹 鈴政)
稲生 弘 関東甲信越ブロック
(埼玉県/花寿司)
目黒 秀信 東京ブロック
(東京/ヨロシク寿司)
尾崎 吉宜 中部ブロック
(静岡県/すし処尾崎)
青山 修治 近畿ブロック
(滋賀県/丸萬)
川中 勇 中・四国ブロック
愛媛県/いさみ壽し・北斎
松延 憲次 九州ブロック
鹿児島県/弥助
風戸 正義 国際すし知識認証協会 会長
千葉県/さかえ寿司
山崎 博明 全国すし連 前技術院長
(東京都/蛇の目鮨)
実行委員会
実行委員長
井上 正典 全国すし連 副会長
大阪府/大喜
副実行委員長
小形 昭彦 全国すし連 副会長
東京都/吾妻寿し
副実行委員長・審査委員
山崎 博明 全国すし連 前技術委員長
(東京都/蛇の目鮨)
実行委員
門口 一久 大阪府すし組合 副理事長
(大阪府/つり舟・いわし亭)
成尾 友紹 大阪府すし組合 副理事長
(大阪府/寿司割烹なるを)
若竹 敦史 全国すし連 専務理事
実行委員・大会会長
浅野 哲哉 全国すし連 会長

全国すし技術披露会
開催日時:令和4年10月18日 (火) 午前10時15分〜午後3時30分
会場:東京新宿 京王プラザホテル
主催:全国すし商生活衛生同業組合連合会
後援:株式会社 旭屋出版